前回は絶対零度の話をしました。今回は、絶対零度への道ということで、気体の液化に関する話をします。
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気体の液化はアンモニアから始まりました。
フランス人のモルボーという人が1789年にアンモニアの液化に成功しました。
ちなみに、アンモニアガスの沸点は-33℃(239.81K)です。
モルボーはアンモニアを凝固点降下という現象を利用して液化に成功しました。
凝固点降下とは、、
まず、純粋な溶媒の凝固点は液体から固体になる溶媒分子と個体から液体になる溶媒分子の数が等しい状態です。(固液平衡状態)
その状態で不揮発性の溶質を加えると、溶質は凝固しないので、液体側は溶質が存在するだけ凝固速度が遅くなります。
そうすると、融解が有利となり、融解熱により周りの温度が低下します(融解熱は吸熱)。
要は、溶質が邪魔をして凝固速度が遅くなり、融解が有利となって、吸熱である融解熱により温度が低下することになります。
こうして温度が低下してくると、融解速度が低下して新しい平衡状態になり、溶液の凝固点は溶媒の凝固点より低くなります。
これが凝固点降下の原理です。
このように冷却剤を-44℃(229.15K)まで冷却させて、アンモニアの液化に成功したのです。
ただ、この方法では冷却温度に限界がありました。
次に、ジュールとケルビンが気体を膨張させるにはエネルギーが必要であることに着目した。
それは、外界から熱が伝わらない断熱下で期待が膨張するには、気体分子が持つ運動エネルギーを使うしかなく、それにより気体分子の運動エネルギーが減少し、期待全体の温度が低下するという現象です。
これを、ジュール・トムソン効果と言います。
この効果を利用したものの代表としてエアコンがあります。エアコンは断熱膨張の効果を利用して気体を冷却させて室内を冷やしています。
ということで、この効果を利用して、1877年には沸点-182.92℃(90.2K)の酸素、沸点-195.79℃(77.36K)の窒素の液化に成功します。
1896年には沸点-252.87℃(20.28K)の水素の液化に成功します。
ここまでで、絶対零度まで約20Kのところまで来ました。
最後の敵はヘリウムです。ヘリウムは単原子分子なので、1つの分子で安定であるため、分子同士に働く引力が弱く、温度を下げても分子同士の距離が縮まりにくいという点があるため、液化が困難なのです。
このヘリウムの液化に成功したのはオランダ人科学者です。
方法は、液体水素でヘリウムを冷やし、その後、ジュール・トムソン効果を利用してヘリウムガスを冷却することを繰り返しました。
そして、絶対零度に向けて温度を下げていったところ。。。
1908年に沸点-268.93℃(4.22K)の液化ヘリウムが誕生します。
今では液体のヘリウムはMRIや半導体製造の現場で使用される重要なものです。
近年、その需要が増加しています。先人の取り組みが21世紀になっても非常に重要なポジションであることに感銘を受けます。
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