前回、量子暗号の前に量子コンピューターの話をしました。
今回は、暗号技術について紹介しましょう。
量子暗号は、量子力学の法則(重ね合わせの状態)を利用することで、原理的に盗聴できない情報通信を実現する技術です。
量子暗号による通信では、途中で情報を覗き見しようとする者の存在を確実に把握できます。
この通信では、量子ビットにそれぞれ、0か1かの情報を乗せて送信者から受信者へ光ファイバーなので送ります。
この量子ビットは光子に乗せて送られます。光子は「偏光」の方向(縦・横)と0か1かの情報と関連付けて、この光子を量子ビットとして利用できるのです。
量子ビットは観測すると状態が確定します。つまり、観測すると状態が変化し、元の状態に戻すことも、元の状態がどうだったかを知ることができないという意味になります。
従い、誰かが情報を盗もうとして量子ビットとして利用している光子を通信の途中で覗き見た場合、その時点で光子が観測されます。
そうなると、状態が変化し、覗き見ようとしたものがいれば必ず痕跡が残るため、情報漏洩の可能性を確実に把握できます。
量子ビットで送るのは具体的な内容ではなく、暗号の鍵になります。
そして、送信者が暗号化されたメッセージも送ります。受信者が鍵を用いて復号して、具体的な文などを読むことができます。
暗号の鍵はランダムに並んだ乱数になり、それ自体に意味はありません。
途中で盗聴された場合は、盗聴された恐れのある部分は捨てれば良いので、覗き見られなかった乱数を安全に共有できます。
このように量子ビットを用いて、暗号の鍵を使用することで、破られない技術になるのです。
ただし、暗号の鍵を送る速度が遅いことが課題として挙げられています。
いずれにせよ、このような技術が進歩してくれば、将来的には送受信における情報漏洩がなくなるのではないでしょうか。
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